タイガーマスク

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「草も木もないジャングルに~」梶原一騎原作、辻なおき画の本格プロレス漫画である。先日の日曜ある古本屋で第10巻を手に入れた。中学の頃TVでアニメを放映していたのは覚えているが、原作は読んだことがない。虎の穴を裏切り追われる身となったタイガーマスクこと伊達直人。生来孤児で次々と虎の穴が差し向けてくる悪役レスラーと孤独な戦いを続けていく。一方で伊達直人のときは孤児院の子供たちに愛の手を差し伸べルリ子にほのかな恋心を抱く。いろいろなキャラクターが登場したがそれほど詳しくはない。私はその程度の理解である。

第10巻ではデスマッチに対する風当たりが強くテレビ中継が中止になり会場の使用を断られるという状況の中でタイガーは覆面世界タイトルマッチを続けているところだ。よい試合場所を借りられず悪条件の中で極限の試合をする苦悩が続く。うわべだけでプロレスを残酷と非難している社会は、うわべの繁栄の裏で公害を引き起こしている現実を放っているとタイガーに言わせている。超人的に鍛えられたレスラーがぎりぎりの勝負を競うことは技を楽しむものというのが素人にはわかりにくいものだ。そのためこの漫画では数々のプロレス技が描かれているが、バックドロップやパイルドライバーの様子を見てもそんなに残酷には見えない。この漫画で技の型を覚えて実戦を見ると残酷というのとはまた違った印象になるのではないか。

此の巻に出てくる覆面キャラはユニバーサルマスク、ジキル・アンド・ハイド、バイキング・キッドそしてミラクル3とあり、タイガーが勝ち相手の正体をあばくと必ずそこにはそれぞれが覆面をかぶるようになったかなしい顔がある。そのような事情も読めるとラフ・プレーがプロレスに求められる一要素であることも見えてくる。もちろんタイガー自身の悲しい顔も際立たせる。またアブドーラ・ザ・ブッチャーなんて実在のレスラーも登場。そして馬場と猪木が日本プロレスの同じリングに立つ事に時代を感じさせる。