近江鉄道その4・2004

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あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る (万葉集額田王

 

天智天皇が蒲生野へ猟に行幸したときに随行していた額田王が一緒にいた大海人皇子に対して詠んだとされる歌である。蒲生野とは現在の近江八幡八日市・東近江にまたがる広大な領地であり、とくにこの歌の背景は東近江市日野のあたりと推測される。実際はこの歌酒宴の席で詠まれた戯れ歌だろうと考えられているが、それにしても行ったことがなければこのような歌は作れないし、かつて一緒に行った日のことを思い浮かべながら詠んだのであろう。そんなわけで額田王は日野にゆかりある人物と一般に思われている。

 

1998年に近江鉄道にそれまでの車両と面目を一新した700形が入った。実はすでに入っていた800形と同じで元西武の401形である。が車体は大幅に改造を施され一見新車のようである。特徴的な前面、パノラマタイプの連続窓、転換クロスシート、そしてトリコロールの塗色など。タネ車の名残は屋根のグローブベンチレター位である。愛称「あかね号」は上記の歌にちなんでつけられた。代表車と呼ぶにふさわしい車両だが近江鉄道には優等列車の設定というと快速だけでそれに使われることは多いが特に他車と区別して使われているわけでもない。そしてやはりワンマン運行である。近江鉄道にすれば思い切った新車であろうが目立つような使われ方とは言えず額田王が残念がる。2004年7月28日乗車。

 

戯れ歌⇒あかね号八日市行き彦根行き農夫は見ずや快速通る