強迫性障害は治ります!

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  田村浩二著 ハート出版 1300円

ある体験者の苦悩と快復した喜びの報告 

 

強迫性障害とは不合理あるいは無意味な思い込みに本人自身が束縛されて、不可解な行為を繰り返したり続けたりする症状といえよう。自分自身が不愉快・不都合・恐ろしいと思えるような考えが頭に浮かんできてそれから逃れられない。それを打ち消すために一定の行動を起こすのだがこれがまた傍目には不可解な行動なのに本人は止めることが出来ない。例1>汚いものへの恐怖から何度でも手を洗ったりシャワーを浴び続ける。例2>火災を恐れる余り外出前になると何度もガスの元栓を留めたり電気のコンセントを抜いたりする。 これらの行為を何度も繰り返さないと気がすまないので他のことに取り掛かれない。

 

決して人格の異常ではなく、まじめ、感性が強い、やさしいといった性格の人がなりやすい。ただ脳の機能はセロトニンなどの脳内物質の分泌不十分であることが分かっている。だから医者にかかればSSRIや抗うつ材などが処方される。医師の指導のもとで正しく服用すればその効果も現れる。だがそれより大切なことがある。

 

この著者は今は会社員として普通の生活を送っているが小学校の時に発症して20代の頃まで悩まされ続けたことを、体験手記的にまとめてこの病気への対処・理解の一助とすべく望んでいる。本人以外には甘えや妄想に見えるが本人にとってはそれが「現実」のことである。見えにくいかもしれないが周囲がそれを理解したうえで急き立てず、受け入れてくれることを求めている。本人の努力ももちろん必要だが、理解と協力をしてくれる人が必要という。そうすればこの症状は現れなくなるのだ。著者の場合その人は妻だったといい、この本の終わりの方はいささかノロケぽいが、このような人たちが幸福に生きる権利は当然あることを教えてくれる。