静岡県の鉄道の不思議

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静岡県は東西に長い県で河川は富士川、安倍川、大井川、天竜川がそれぞれ太平洋に向かって流れている。東海道新幹線の駅は熱海、三島、新富士、静岡、掛川、浜松となんと6つもあり他県の追随を許さない。これは元々この県は河川流域周辺部から発達し河口にそこそこの規模の町が形成されていったということで逆にいえば一都市集権性が低い県ということでもある。もともと遠江駿河、伊豆の3つの国が合体して出来たのだからそれも頷ける。そして例えば電気の商用周波数が富士川を境に50Hzと60Hzと分かれているし、中央構造線糸魚川から静岡で線引きされるし、江戸時代は大井川に橋をかけずに東西の交流を阻んでおり、いろいろな面で県内が東日本と西日本に分断されてきた。県外の人間にはわかりにくいが駿河弁と遠州弁は違い静岡弁と一つには括りにくいらしい。こうして見るとよく一つの県にまとまっているなと感じてしまう。

 

話を鉄道に限定してみよう。首都圏、中京圏、関西圏では沿岸部に二つ以上の府県を跨ぐ鉄道路線網が発達しておりJRだけでなくそれと並走する私鉄路線も整備されて互いに鎬を削っている。それぞれの鉄道では近郊区間内の列車が頻発しているし料金不要で特急に匹敵するようなスピードを出している。ところが静岡県に入ると沿岸部を走るのは大半の区間においてJRのみ。対抗私鉄といえば静岡市内の静岡鉄道位である。他の私鉄といえば、河口部都市からJRに垂線を引くように山間部の方向へ線路が延びている。面白いのは伊豆箱根鉄道で、ネーミングから伊豆と箱根を結ぶ都市間連絡路線のように思えるのに、実際は別々の県で2つの路線がJRと直交して営業を展開して、互いの関連性は低い。
 それから、大都市近郊区間は県境の手前で終わっている場合が多い。ところが神奈川・静岡県境、静岡・愛知県境は越えていく列車が多い。いうなれば湯河原から熱海までは首都圏、新所原から浜松までは中京圏編入されているとみなせる。その代わり県内で大井川にかかる付近(島田~掛川間)の本数が著しくでもないがや少ない。このように交通流動の面から見てもこの県の一体性というものがあまり強くない。そのためこの県にはJRに対抗する大量高速輸送の私鉄が現われなかったのか。もしそんな鉄道が出来ていたら東海道私鉄乗り継ぎ旅行ということが出来たかもしれないのに。