ジャングル大帝

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現在所有するジャングル大帝の単行本は光文社より昭和33年10月15日初版発行された「手塚治虫漫画全集ジャングル大帝3」である。知人宅の倉庫整理を手伝っていて発見、貰い受けた。表紙カバーはあったのだろうが入手した時には欠落していた。内容は成長したレオがアデンを発ち命がけでふるさとのジャングルへ向かうところから息子ルネが人間社会に憧れジャングルを発って行くところまで。中に「コノ水盤ハ十四インチテレビヨリヨクウツルワイ」というセリフがあり、またケン一という人物が登場する。このことは後年TVアニメ化されたときその番組の冒頭で榎本健一(通称エノケン、知っている人少ないだろうなあ)が次のように歌っているのを暗示する様だ。
うちーのテレビにゃ色がない、隣のテレビにゃ色がある。あらま綺麗とよくみたらサ〇ヨーカラーテレビ。…サ〇ヨーカラーテレビ劇場~♪
(元歌はウチの女房にゃひげがある)
この番組はTVアニメのカラー化第一号だったと記憶する。もちろん放映当初はカラーTVなど超ぜいたく品で大きな物だった。ウチでもまだ白黒で見ていた。しかしこの頃から右肩上がりの高度急成長の中でカラーTVは新三種の神器の一つとして急速に普及していくのである。大量消費文明の幕開けである。

 

漫画に戻ろう。この巻の中で作者は「秩序あるジャングル」と「弱肉強食の人間社会」というパラドキシカルな二項対立を読者に提示してその良否を考えさせる。作者に秩序、人間社会への否定などは毛頭ありはしないがよい人間、悪い人間どちらをも包含して文明が成立していくのを忘れてはいけないと教えているようだ(文明の産物であるブラウン管を通して)。ルネの運命やいかに?