迎賓館のすぐ北側には「母と子の森」と呼ばれる小さな木立がある。どうやらここに居ついているらしいこの一匹。近づくと目が合った。お前は誰だと言うような警戒的な視線を送ってくる。お互いが止まった、間隔は２ｍ少し。携帯を取り出し手を伸ばして撮影しようとした。すると彼（彼女？）は動き出す。「ああ、やっぱり逃げていくか」と思ったらやおらそばにあるベンチによじ登り、しゃがみこんでポーズをとるではないか！「撮るならこれで撮ってくれ」といいたげに。その姿はスフィンクスか神社の狛犬のような主を守る衛兵そのものであった。
まるで撮影会の様に何枚か撮ったあと私もその場にしゃがみこんだ。すると衛兵はベンチを降りこちらへ寄って来て私の持っていたリュックに擦り寄る。どうやら持ち物検査をするらしい。匂いをかぎながら覗き込むようにしている。数秒間点検して問題がないと分かるとさっと離れた。しかし遠くへ行くでなし、周囲を見回している。ここが彼の持ち場で離れるわけに行かないのだろう。私は軽く会釈して彼の前を通って立ち去った。今まで人間の外来者を何人も見てきたのだろう。恐れる様子もなく人なれしていた。
皆さんも京都迎賓館の前まで来たらこの衛兵さんに会って下さい。格好の被写体です。
