和歌山線北宇智駅

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JR西日本和歌山線北宇智駅にある関西唯一のスイッチバックがこの3月17日で廃止になる。18日以降は単線ホーム一本の普通の駅になる。ここの勾配は20‰程度なので今の電車の性能ならスイッチバックでなくても何の問題もないがその昔蒸気列車が走っていた頃はスイッチバックにせざるをえなかったのだろう。それが電化されて後も今まで残ってきたのは、ダイヤ運用上や採算的問題で据え置かれてきたようだ。ところが昨年ATS入れ忘れ事故という事があって安全対策上建て直すことになったそうである。

 

ともあれ廃止を惜しんで来訪するファンが増えていると聞いた。そうなるとおとなしくしておれず私も日曜日に18切符を使って行ってきた。 奈良から桜井線周りで和歌山線に入る105系電車の列車に乗った。桜井線内は比較的空いていたが高田について進行方向が変わると運転室後ろがにわかに混み出した。やはり鉄オーラを発する人たちであった。105系は客席から前方透視はあまり出来ない。私はあきらめて座っていた。ワンマン運転でそこは降車扉になるのだが途中降りる人もなく皆立ち去ろうとしない。そしてやはり皆北宇智で降りた。

 

別に何があるというところでもなく小さな無人駅だが駅舎がある。以前は駅員が配置されていたのだろうか。2面2線だけれど構内は広いスペースがある。このようなところにわざわざここまでして駅を作ろうとしたのは吉野杉など貨物を積み込むためだったのだろうか。近くに金剛山が屹立している。
確かに通過線は緩い勾配で、これならそこにホームを作っても何の不都合もない。現に今そこに仮駅ホームの土台が建てられていた。京阪大津線大谷駅などこれよりきつい勾配上に建っている。大谷駅ホーム平行方向にに置いてあるベンチは京都寄りと大津寄りで足の長さが違う。この北宇智なら新しい駅でもそこまでしなくても大丈夫。
その昔急行「紀ノ川」に乗ったときこの駅の存在には気が付かなかった。通過列車は駅構内に進入しなくても通って行ける配線だったからだ。現在でもたとえば土讃線坪尻駅は同じような構造で特急や一部の普通は通過していく。今この和歌山線を走るのはすべて普通列車である。どの列車も律儀に通過儀式をして北宇智駅に立ち寄っていく。
そのまた昔東京発で名古屋から関西線周り湊町(現JR難波)行きの寝台急行「大和」というのがあった。この列車面白いことに王寺で2等寝台車を1両だけ切り離して同駅仕立の普通列車に連結し和歌山まで行くという運用があった。そしてもちろんこの北宇智にも止まっていたのである。つまりここから東京まで乗り換えなしで行ける時代があった。今北宇智駅を降りて踏み切りをこえて200mほど行くと国道24号線上に住川というバス停がある。もちろん地元の路線バスのものだが、ここに毎日1本新宿までの夜行バスが止まる。その名もなんと「やまと号」。小さな町に物のえにしを感じる。時代は変わっても人の往来の絶えざりき。今後の和歌山線北宇智駅の栄えんことを!

 

2007.3.11撮