ストーブ列車考

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石油の価格が上がり続けている。ガソリンも灯油も数年前の倍近いほどまでになっている。それでもまだ上がるかもしれないという。政治的事情からOPEC原油生産高が伸びないことが原因のようだが、もう一つには温暖化防止によるCO2削減を目指して石油の消費を抑えようとの思惑もあるのかもしれない。石油ストーブは一時にパッと暖かくなって手間もかからず熱効率もよいけれどそれだけにCO2排出量が多い。今年は石油の暖房を見合わせる家庭も多いだろう。 

 

昔は石炭ストーブがいたるところにあった。バケツに入れた石炭を準備しておき、まず種火となる薪を入れて火を起こし炎が周り始めたら石炭を加減しながら入れる。暖かくなっても常に火加減を見ておかないと消えてしまったり不完全燃焼を起こすことさえある。手間がかかるため最近見なくなったが燃えると良く暖まり大人数の暖房に適していた。CO2排出量も少なくはないと思うが人間一人を暖める燃料量に換算すれば石油ストーブより小さいのではないか。

 

今年も津軽鉄道ではストーブ列車を走らせているらしい。あいにく私はまだ乗ったことがない。国鉄では蒸気機関車や蒸気発生装置(SG)を取り付けた電機やディーゼル機で発生させた蒸気熱を客車に通してスチーム暖房に使っていたが、SG非設置の機関車しか持たない小さな鉄道では客車にストーブを載せて暖房を供給していた。昔は津軽鉄道だけでなく東北や北海道の他の小さな私鉄でも使われていたと記憶する。現在では津軽鉄道だけになってしまった。

 

津軽鉄道でも運行の大半は気動車が使われていて当然ストーブなどなくても暖房できる。そのため地方の鉄道の厳しい財政、設備の老朽、維持運営の手間からストーブ列車の取りやめも考えられたそうだ。そこで今年からは乗車には運賃のほかにストーブ列車料金を課してこれで維持運営をまかなうことになった。該当列車には一般車両も併結してそちらは通常運賃だけで乗車できるようにする。現在ストーブ列車は観光資源として残されている色合いが強いので観光客が負担することになるだろう。こうなると地元の人とは隔離された旅程となってローカル色を楽しむというのとは少し違うものになりそうである。とはいえ環境問題を考えるうえでかつて暖をとる方法にこのようなものがあったということを知るためには一見の存在価値を残しているとは言えよう。

 

今のストーブ列車用の客車はオハ46、オハフ33が使われているがここに載せるのはその先代だったオハ31である。以前の津軽鉄道の記事→http://blogs.yahoo.co.jp/d19756236/10984419.html
この記事の写真と同じ日に五所川原駅に留置されているのを撮りました。1982.9