栄光のランナー

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新幹線500系は時速300㎞の走りを売りにJR西日本が1997年に颯爽と登場させた。その独特のスタイルと俊足さは当初人気を呼んだ。
(京都の人間にとって)500系関連のトピックといえば、なんと言っても2002年ノーベル化学賞受賞の田中耕一さんが授賞式出席にあたり上京するとき京都駅で報道陣らにもみくちゃにされながら意気揚揚と500系のぞみに乗り込んだことがもっとも印象に残っている。のちに田中さんはノーベル賞受賞時の感想を聞かれて「初めて500系に乗れたのでうれしかった」と言い添えている。それはその当時としては国民的栄誉を受ける人に対する最高の待遇だったのだろう。そのとき43歳で島津製作所の一介の会社員だった彼には思いもしなかったことである。受賞により彼の生活環境は一変し、49歳となる今年では同社の取締役となり社内外いくつかの名誉職を兼任しさらに内閣府総合科学技術会議にも参加し、日本の科学政策に影響を与える存在にまでなっているという。

 

ついこの間のことのように思えるのだがすでに6年が経っている。田中さんの外形も世界に知られる科学者然とした風貌となられた(2002年と2007年の彼の写真を載せておきます)。それだけの年月が経ったのだから彼を乗せた500系の運命も変わっていくのは当然だ。近年は車体構造の特殊性から運用が制約され後に登場した700系やN700系に押されて影が薄くなってきた。近いうち東海道新幹線から撤退し短編成化されて山陽新幹線内のこだま運用に当てられることが決まっている。こだまではせっかくの300km対応が生かされないのは惜しいことである。

 

一方は外形は変わっていくにつれ地位が上がっていき、もう一方は外形はそのままなのに地位が下がっていく。両者の運命をオーバーラップさせることは出来ないが、巷間に話題を提供したときの反響の大きさは忘れられることはない。けれども田中らが発表したたんぱく質質量分析法もさらに高感度にできる方法が開発されているという。そして新幹線車両の世代交代のスピードはドンドン速くなっている。「最新」と呼ばれる日々の何と短いことよ。

 

もうしばらくは京都駅でも見ることが出来るようだが今年中にはこだま転用が始まる見込みである。その栄光をしのびつつ写真に収めてきた。2008.3.9 のぞみ33号博多行き・京都にて

 

Wikipedia田中耕一」を参考にさせていただきました