春休みのお出かけ・江若鉄道

1969年の3月に小学校を卒業し4月からは中学に上がるという羽根を伸ばせる春休みだった。その年10月に江若鉄道が廃止になると聞いていたので一つ乗りに行ってみようと思い立ち弟といくことにした。小学校のころから兄弟で遠出することは何回もあったので親も承知してくれて弁当を作って送り出してくれた。京阪で浜大津へ出て乗り換え。どこまで乗るかは決めてなかった。あまり遠くにすると帰るのが遅くなるのと二人の運賃が100円以内で収まると言う理由で日吉までとしたのだと思う。今思えばもっと遠くまで乗ればよかったのに。それでも2人の子供にとっては未知の場所への探検でワクワクしたものだ。

 

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木製の駅名表。今の湖西線比叡山坂本駅の近くになる。

 

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木造の駅舎。無人駅である。当時家の近くの鉄道駅はどこも有人だったのではじめての体験だった。このことがあとで思わぬことになったのだが… 駅の周りには何もなくてこの駅舎内で弁当を食べた。あまり歩き回らずに駅にいただけだったようだ。ひばりがピーチクパーチク鳴いていた。

 

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帰りの列車が来た。これに乗って浜大津へ戻る。道端にダンプがひっくり返っているな。せっかくカメラを持って行ったのに自分の手で撮った江若鉄道の写真は以上3枚だけしか残っていない。

 

無人駅からなので当然無札だった。浜大津駅の改札で日吉からといって料金を払おうとしたが、駅員さんは小さい子供2人の言葉を疑って「本当か」とか「大人はいないの」とか何度も問い詰められた。何度聞いても日吉からと言うので疑いながらも出してもらえたが、そのあとなんだかシラけた気分になって2人とも無言で家まで帰った。江若鉄道というと懐かしさとともにそのときの記憶が蘇って少し苦い思い出である。

 

進学生の皆さん、最近一部の進学校では入学式までに宿題が出されたりしてあまりのんびりできないとか聞きました。苦い体験でもこの時期に出かけるのは進学前の気持ちの切り替えにいいと思うのですが、お気の毒なことと思います。そのような方もおられますができれば羽根を伸してどうぞ陽気に安全なご旅行を。

 

1969.3.27撮