男どアホウ甲子園

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水島新司といえば熱血野球漫画の大御所。ドカベンあぶさんなどの代表作は多くの人が知っている。他にもいくつも野球漫画があって正直なところどれがどの作品のキャラクターだったか良く覚えてない。一連の作品群の流れの中で水島氏を野球漫画家としての地位を不動の物にさせたのはこの作品だといえる(その前にも野球関連の作品があったらしいが私は目にした記憶がなく実際有名にもならなかった)。将軍が中学生だった70年代初頭に少年サンデーに掲載されTVアニメ化もされた。

 

昔の阪神タイガースには村山、小山、バッキー、江夏など一途な性格の投手が多くいた。いずれも巨人打線特にONとの対決に心血を注いで名勝負を繰り広げた。水島もかつては熱心な阪神ファンとしてそんな彼らの姿にヒーローのモデルを見出したのであろう。その名も「藤村甲子園」。変化球が嫌いで剛球一直線で勝負、高校生だてらに150km/h級の球を吼えながら投げる。その球を受けることが出来るのは岩風五郎こと豆タンしかいない。二人は名コンビとしてバッテリーを組む。「いくでえ豆タン!」「はいなあんさん」… バッテリーを夫婦に例えて捕手を女房と呼ぶことがあり、それを水島も漫画に取り入れ豆タンに甲子園のことを「ウチの人」などと呼ばせているがちょっと悪乗りな感じで気持ち悪く思った。

 

甲子園は野球のこととなれば周りの迷惑顧みず好き勝手な振る舞いをする。それが一途で純粋なのだろうけど今読むとこんなヤツが近くにいたら秩序も規律もあったものではないなと思う。彼らが在学していたのは「南波(なんぱ)高校」であったがこの学校のモデルは多分あの学校だなと思った。当時大阪で甲子園出場の常連校だった野球は強いけど「ガラの悪い」ことで有名だったあの学校ならばこんなヤツがいてもおかしくないななどと思った(すみません、あくまでも私の勝手な想像です)。

 

甲子園は豆タンとともにそんな南波高校から東大へ進学する。それだけでも「ありえね~!」であるが、とにかく六大学万年最下位の東大で発奮して他大学の強打者をなぎ倒す。結局東大は中退してしまうが阪神タイガースに入団してここでも剛速球を武器に長島や王に戦いを挑む。と後半は「ありえねー」の連続になるが、水島は往時の片やの野球漫画「巨人の星」をずいぶん意識していたという。土曜夜のゴールデンタイムにこの番組が流されているのを見るにつけ当時の阪神ファンは鬱屈した物を感じていただろうが
「どアホウ…」の出現により幾分かの溜飲を下げていたのではなかろうか。

 

藤村甲子園が今の阪神タイガースでたとえば下柳がユルユルとした球ながらも打者のタイミングを外して打ち取るのを見てどんなことを感じるのであろうか。

 

  まあるい地球がボールのつもり、でっかい太陽ヘルメット、男どアホウ甲子園~