地下鉄(メトロ)に乗って

イメージ 1

    原作・浅田次郎 漫画・もりひのと 講談社

 

一昨年公開された同名映画の漫画版である。封切り時映画は見ている。(→http://blogs.yahoo.co.jp/d19756236/43487334.html)
もう一度感銘を呼び覚まそうと思って買ってきた。

 

真次は兄の命日に地下鉄に乗ろうとしたときエアポケットに入り自分、父、兄、彼女、その母の関係を解きほぐしていくことになる。何しろ過去と現在が入り乱れて話が進んでいくものだから頭の整理がつかなくなってくる。読んでいくうちに映画のシーンを思い出してきて理解の手助けとなった。主人公はもちろん真次だが、アムールすなわち父の生き様を見ていくことが大きなポイントとなる。戦後満州から引き上げてのちどさくさに危ない商売に手を染めて材をなしていく強持ての男である。しかしお時と出会ってから一途な思いがあることが示されていく。そうして生まれてくる子供への愛をおおっぴらに出来ないことと本当は血のつながりのない子供をわが子として育てなければならないこととの間でこのアムール虎のような男の葛藤があった事が見えてくる。男女愛と家族愛とは何か考えることを真次がまた受け継いでいく。幻から醒めて気がついたら地下鉄の中。