あの宿は今も…

小学校の修学旅行は伊勢へ行ったのだが、そのとき泊まった宿がどうなっているのか見てみたくなり、先日見に行ってきた。

 

何しろ40年前のこと。残っている文献を調べると二見が浦近くの「**園」という旅館だった。JTB時刻表巻末の協定旅館一覧には二見のところに「**屋**園」という名が載っていてこれだと見当をつける。

 

記憶では玄関こそ立派だったが奥に入ると木造のその頃でも古めかしい感じの建物だった。男女各組別に分かれていたが食事も入浴も就寝もすべて一緒に揃って行った。大部屋で雑魚寝である。行ったのは4月で時候的にはよい頃合だったが部屋の設備にはおそらく今のようなエアコンなどなかったと思う。その裏手はすぐ松林の並ぶ浜辺になっていてそこから建物が見渡せた。あいにくその全体を捉えた写真は残っていないが私を含めた子供たちの写真の背景に写っている。これからその雰囲気を感じ取って戴けよう。

 

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①タオルが干してあるところを見るとお風呂上りの自由時間にみんなで散策していたのだろう

 

②子供相手の物売りのおじさんが商売をしていて私たちは珍しげに見ていたと言う図。
以上2枚 1968.4.24撮


さて今日である。現在の京都の小学生はもはや修学旅行は伊勢に行かない。ということはこの地域の旅館にとっては大口の需要を失ったわけである。それなりに工夫して他から客を呼び込む必要があるはずだ。二見浦地域は伊勢志摩の宿泊地の中では今はやや外れた位置となっている。それだけにより一層設備やサービスの見直しが求められることだろう。因みに手元の時刻表の旅館一覧表に載っているこの旅館の宿泊料金は14700~21000(円)となっている。この40年で面目は一新されさぞや立派になったことだろうと想像して行った。

 

近鉄伊勢市で降りて内外両宮を参拝した後、この一帯の観光地を巡るCANバスというので「二見総合支所前」停留所まで乗る。地図によればここから徒歩5分くらいのところに**園があるはず。歩いていくと…ありました。昔見たことあるような構えの旅館。ちょっとは立派になったかなと思いつつ横の小道から裏へ回ると…

 

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  わっ、昔のままだ!

あれからさらに40年の風雪に耐えて建ち続けていたのか。でも、今誰が泊まるのだろう? その疑問はすぐに解けた。時は7月下旬、宿の裏口からフンドシ一丁の姿の男の子たちが大勢出てくる。そういえば宿入り口の歓迎の看板に愛知県の某有名中学校の名前が書かれていた。どうやら夏休みに入ってすぐの臨海学校らしい。今もこの宿は姿もそのままに児童たちの宿として使われているのである。しかしまるでここだけ時が止まったように残っていたのは感動的ですらあった。この日はこれで帰ったけれどいつの日か同窓会で泊まってみたい。 そのときまでどうかこのままで建っていて! 下の写真2008.7.27撮