かもめ食堂

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  群ようこ著 幻冬舎 1238円

 

3年程前に封切られた映画作品の原作。この映画のために書き下ろされた。

 

われわれ日本人が連想するフィンランドのイメージは北欧の森と湖の国。日本と同じくらいの面積にわずか500万人ほどしかいない。サウナ風呂、サンタクロース。シベリウス交響詩。スキージャンプ、ノキアの携帯電話、東郷ビール。といったところだろうか。
その国民のはるか昔の祖先はアジア系の人たちだったというから他のヨーロッパ諸国に比べてどことなく親近感を感じる。というのは日本人の勝手な思い込みだが、まあ遠くて近いように思う。

 

サチエは突然フィンランドで食堂をやろうと思い立つ。それは我々と同じ程度にしかないイメージでそう決めた。でも彼女は強運の持ち主だった。かつて父が開いていた道場に来ていたかの国の青年がいた。その人に連絡がとれ力になってもらう。ひょんなことで宝くじが当たる。それを元手に渡航し生活資金とする。すべてサチエを後押しする用にことが運ぶ。

 

そこまではとんとんとことが運んだが流石に異国で食堂を初めても客が来ない。傍まで近所の人たちが見に来るが入っては来ない。やがて1人の日本びいきの青年がやってきてガッチャマンの歌詞を教えて欲しいという。

 

ある日偶然町で日本人女性と出会う。彼女もまた世界地図の中で指がフィンランドに止まったという理由だけでこの国に来ていた。ガッチャマンの歌詞を教わり意気投合した2人はともにかもめ食堂で働く。

 

少しづつ客は増えてきているがメニューにおにぎりを入れても頼む人はいない。
しかしさらに空港で荷物を受け取れなかったというもう1人の日本人女性がやってくる。
仏頂面で中をのぞき続けるおばさんが突然入ってくる。
そんなこんなで2人はいろんな事件に巻き込まれ忙しくなっていく。

 

ストーリーの展開は面白く、行ったことのないはずのヘルシンキの町の情景を想像できる。
それだけにラストは尻切れトンボの感が免れない。
フィンランドの人におにぎりは受け入れられるようになるだろうか…