没後50年・北大路魯山人

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  平成21年9月19日~12月13日 滋賀県立陶芸の森 陶芸館 にて開催中

 

最近アニメ、エッセイなどで究極の美食家といったイメージで語られることの多い北大路魯山人であるが「美と食の巨人」とよばれたことからも芸術の分野にも多才な足跡を残していてその集大成的な展覧会が開かれている。彼の作風からは美濃の志野や織部、北陸での修行時代に感化を受けた九谷などからの流れを汲んだものが多いが、信楽焼を模した壷なども見ることが出来今回信楽の地で開催されるのもその縁からであろう。また彼の書家としての親交のなかに長浜の実業家がいたことも無縁ではあるまい。

 

その作品の原点は彼の食へのこだわりから食べ物に纏わせる「着物」としての役割を重視したことで食べ物の味を最高に引き立たせることから始まっている。それは彼が主催した料亭「美食倶楽部」、そこから発展した「星岡茶寮」で用いられそこにやって来る多くの名士の目を見張らせ親しまれた。そこには彼独自の審美眼の結晶があった。それまでの因習にとらわれず破天荒な形・色彩・模様などが描かれている。

 

染付け皿に「福」の文字を一枚一枚異なる字体で描き入れたもの
紅葉紋の大鉢に刷毛目で金彩を入れたもの
織部の皿にカスミ網の上を飛ぶ鳥の模様をいれたもの
辰砂染付けで焼いた紅茶碗とその下に置くのは黄瀬戸の皿
黒の漆碗に円形の金銀の箔を交互に配置して太陽と月を表わしたもの

 

どれも意表をつく取り合わせに目を奪われ唸らせる。これらのものを全く予備知識なしで単品を見せられると「なんじゃこりゃ!」と思ってしまうだろう。私自身今まで魯山人の作品を何か独りよがり、あるいはその飾り付けにうるささを感じてしまっていた。だがここでそれを一堂に会しているのを見て少し分かったような気になった。これらが幽玄さすら感じられるような落ち着いた雰囲気の中で次々と料理を載せて出されると「食べられる展覧会」という趣で五感の隅々まで楽しさを行き渡らせることが出来るだろう。

 

本日行ってきた