京都市考古資料館

京都市は千年の都だけあって市街地で地面を掘ればいろいろなものが出土する。これまでに市内で地質調査や土木工事の際に出てきた発掘物を集めて展示保存するため1979年にできたのが京都市考古資料館である。先月岐阜・愛知の2博物館で桃山陶の展示を見た際どちらでも当館の所蔵品が多数置かれていたのを見て「灯台下暗し」と感じできるだけ早急に見に行こうと思っていた。

 

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市バス今出川大宮下車すぐ。建物はかつて西陣織会館として使われていたものなので年数が経っている。同館が堀川沿いに移設されたためそのあとに建物を引き継ぐことになった。入場無料 開館時間9~17時 月曜休館。本年は開館30周年を記念して特別展示「京都 秀吉の時代」が開催中である。

 

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1階の展示室が特別展示スペースとなっている。秀吉は天下を取って京都に聚楽第伏見城を築いて贅を尽くしたがその跡地から瓦や陶磁製食器が見つかっている。移動式の黄金の茶室を作り遊興先に持ち込んでそこで茶の湯を楽しんでいたそうだ。すべて黄金製だったという茶道具の復元模型がある。秀吉さんこんなド派手な雰囲気の中で侘び寂びの心など解ったのだろうかな?

 

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2階へ行くと常設展で古代から現代までの発掘品が時代順に並べられている。深く掘れば掘るほど古代のものが出てくる。桓武天皇により京都が都となったのは8世紀終わりだが出てくるものはさらに古く縄文時代の竪穴住居跡が発見されそこからは土器が出てきた。

 

陶磁器ファンにはここからが見もの
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時代が下り都となった京都には全国から様々な陶磁器が入ってきた。秀吉が天下を統一して美濃の織部ももたらされたのだろう。青も黒もほぼ完全な形で多数残されてきた。

 

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さらには国外のものも入ってきた。中国・朝鮮からはもちろん遠くベトナムペルシャのものも見つかったと言う。中国製は宋・元時代の青磁のものが多い。室町時代将軍家や寺院が集めたものであろう。神品と呼ばれる龍泉窯のきれいな青磁には目を見張る。

 

ほかにも秀吉時代の古地図などを見て現在自分たちが住んでいる地域の変化を窺い知ることが出来た。また20年程前に我が家の比較的近くで発掘調査が行われているときの写真が出されていたが、そこに写っていた信用金庫、スーパー、クレジットショップなどがいずれものちに閉店して今はない。この写真自体がすでに考古学的価値?を持っていると感じた。
京都に住んでいながら今まで知らなかった歴史の重さを垣間見た思いであった。

 

2009.12.17訪問