京都三条京阪・「篠田屋」の名代中華そば

今日ラーメンを食べさせる店は数多あり、地方へ行くと町を挙げてラーメンで振興しようとしているところも多い。それらは自らを特色付けようとさまざまなこだわりを見せて名を知らしめている。すなわちラーメンと一口に言うが、そこには主張があり地域性がありラーメンを一括りに定義しようとすると意外と難しいことのようだ。一方で中華そばと呼ばれる食べ物がある。一般にラーメンと同義に考えられているが、私は中華そばはラーメンとは別物だと思っている。中華そばには強い主張はない代わりに普遍的定義が存在するものと考える。かん水で練りこんだ黄色い麺、鶏がらと醤油を使った出汁、具は数切れのチャーシュー・シナ竹・刻みねぎくらい。それらが竜の絵や独特の文字・文様が書かれた広がりのある丼に入れられたものとでもしておこう。チャーシューの脂分が少し汁に浮いたりしているがそれほど脂っこくなくあっさりしたのど越し。麺には腰があるが歯でぷつっと心地よく噛み切れる。使う箸は割り箸がいい。割り箸の白木の匂いがそばの味と混ざると一層おいしく感じる。もちろんラーメンにも食指が動くものはあるけれど不変の味を伝える中華そばを無性に食べたくなるときがある。

そんな私の思いを満たしてくれる中華そばを出すお店、それが三条京阪の篠田屋である。
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ターミナル駅の前にあるにしては目立たない佇まいである。しかし京津線が路面を走っているころは電車が三条駅を出て大きく右に曲がるときにいやでも目に入る位置であった。店頭に品書きがあり、その中央に赤字で「名代中華そばにしんそば」とありその横の提灯にはやはり中華そばとにしんそばと書かれている。その何気ないインフォメーションが飾り気のない扉の取っ手を引く気持ちを高まらせる。店内はBGMなどなく昭和30年代の食堂の雰囲気そのままなのが妙に落ち着く。今も京阪の職員さんの間でこの店はよく知られており食事を取る制服姿の職員さんを見かけることもある。店内に往時の京阪電車の写真も飾られている。

中華そば
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そう、これがオーソドックスな昔ながらの中華そば。別に目を見張るものもないがそのシンプルさがむしろ安心感を与える。チャーシューは4切れ、それほどギトギトしてはいない。ねぎは青々としている。あらかじめコショウが振ってありほどよく効いている。
私はここへは食事時間帯を外した時間によく行く。だから閑散としているのだが居合わせる客が私を含めてすべて中華そばを頼んでいるということもしばしば。食べるというよりはその舌触り、噛み心地やのど越しを楽しむような娯楽なのだ。450円。大盛り550円もあるが風味を楽しむには普通サイズが適量だと思う。何度来ても飽きない。

2010.9.23喫食