名古屋ガイドウェイバス

JR高蔵寺駅から大曽根までの路線バスが1時間に1本程度出ている。この路線が「ゆとりーとライン」と呼ばれる現在のところ日本唯一のガイドウェイ方式を採用したバスである。ただし全線ではなく小幡緑地を境に大曽根側約7kmの高架区間がそれにあたり、高蔵寺側は一般道路を走る名古屋市交通局の路線となる。ガイドウェイバスは法規上路面電車と同じ軌道として扱われ新交通システムのひとつに数えられる。走っているのは紛れもないバスであるが専用軌道を走り駅に停車するなど鉄道の要素を取り入れ定時運行を図っている。こうなると鉄道ファンとて見過ごすわけにはいかない。全線乗ってみることにした。

 

高蔵寺駅の南側から日中毎時15分に発車する。12時15分発に乗車。
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高蔵寺春日井市になり名古屋市バスが越境することになるが駅から700mほどで庄内川を渡りそこからはすべて名古屋市内となり県道を南下していく。少しずつ開けてきて中志段味まで来るとバスの本数も10分間隔となる。20分ほど乗って乗客も増え道もそろそろ渋滞が目立ってきたなと感じたころにバスが左へ曲がって県道から外れて停止した。
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ここから専用道路に入るので装備をガイドウェイ用に切り替える。準備できると遮断機が開いてガイドウェイに入線する。勾配の上に見えるドーム状の建物が小幡緑地駅である。ここで降りてみる。ここまでの運賃は200円だがドニチエコきっぷが使える。

 

降りて先ほどの停止位置を見る。一般道対応に切り替えた中志段味行きが遮断機を通過する。
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ガイドウェイ線内は車体外方にあるガイドレールにバスの案内輪を接触させることにより進行方向を導き安定した運行と定時性を確保させている。この場所で前後タイヤ傍にある案内輪を出し入れするのである。

 

再び大曽根行きに乗る。
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タイヤ前部に案内輪が出ているのがわかるだろうか。
ここからはドニチエコきっぷは使えず別料金となる。大曽根までは240円(降車時払い)。ただし高蔵寺から通しでなら420円となる。

 

結構高い所を走り見晴らしがいい。こんな雄大な光景も見られる(川村~川宮間)。
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運転士はハンドル操作をしなくてもよく定速60km/hくらいで走行する。高速道路だと市街地通過区域には防音シェルターなどを設置してあまり景色を楽しめないがこちらは景色がよく見られて楽しい。
走行音も小さいのであろう。

 

小幡緑地から約13分、あっという間に終着大曽根。JR・名鉄駅の隣である。
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この先は停車場と大きなロータリーがあり、到着したバスは簡単な点検のあと転回して高蔵寺方面行きホームに入っていく。まだこの先へ延伸することもできそうだがそのような計画はない。このシステムはバスと鉄道のいいとこ取りをした都市近郊用の乗り物ではある。ただ専用軌道建設のコストが大きい割には輸送量が小さいことがネックとなり都心部には導入しにくかろう。地下鉄などとの総合的なネットワークを形成するほうがよいだろう。
なお現在首都圏の某市での導入が検討されているという。

 

2010.12.12撮

 

つづく