映画・RAILWAYS2を見て

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昨年公開された島根の一畑電鉄を舞台にした第1作に引き続き第2弾が公開されている。今回舞台は富山地方鉄道に移り富山でのオールロケによる作品である。副題に「愛を伝えられない大人たちへ」とある。今熟年と呼ばれる50~60歳台をターゲットとした話であろう。主人公は三浦友和扮する60歳定年を控えた運転士滝嶋徹と余貴美子扮するその妻佐和子である。青春ドラマに出ていた往年のナイスガイも今や渋い熟年を好演するようになってそれだけで時の流れの早さを痛感する。

 

価値観が多様化した現在ではあるが、それでも「結婚」とは夫婦二人が同じ方向へ向かって歩み続ける前提の下に成立するものという暗黙の了解がある。それで一緒に暮らす時間が長くなるほどいちいち口に出さなくてもどちらかの行く道にもう一方が附いてくるように思い込んでしまう。ところが夫側の定年という時期になるとそのあとどうするかでにわかに思いがずれてくる。それぞれが自分のやりたいことを思い抱いているのだがお互いがそのことを話す機会が意外と少ない。いわずとも相手も同じことを考えていると思い込んでしまうのだ。ある日妻が仕事を始めたいと切り出してきて夫は思いもしなかった申し出に驚く。そしてうまく収めることができずに口論となりついには妻が家を出て行く事態に至る。さてそうなったとき夫婦の絆というものはどのように繋がって行くものだろうか。落雷による送電停止で電車がストップした場面が最大の見所だった。結末でこの夫婦のすれ違いがどう収束したのかやや腑に落ちない感はあったが世の熟年夫婦に日ごろの素直な会話を促すきっかけとなればこの作品は成功であろう。家では口数が少なく他の家族から距離を置かれる夫の状況は私自身身につまされた。

 

鉄道趣味的には富山地鉄のさまざまな電車を見ることができ、立山連峰を背景に神通川を渡る光景の美しさに目を見張った。また元西武や京阪の車両がかの地で第2の人生を安泰に送っているのを見て喜んだ西武・京阪ファンも少なからずいたのではないだろうか(特に西武ファンの方)。運転士とはやや見方は違うがファンも電車を恋人のように接していたい。

 

富山地鉄の写真を探したが家にはこれしかなかった。古いポジフィルムをスキャンしたものである。
1964.8.2 電鉄富山で →まだ滝嶋徹は就職していない