平城宮跡

ラソン出場後奈良へ出た。一昨年平城遷都1300年にあわせて整備された平城宮跡をまだ訪れたことがなかった。祭りの後の静寂の中に立つ諸施設をのんびりと見てきた。近鉄大和西大寺から徒歩10分ほどにある。すべての施設は入場無料である。

 

平城宮の正門「朱雀門
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四方位を守る四獣のひとつ朱雀は王宮の南に位置することからこの名の門がある。都の南端にある羅城門から北上してくる朱雀大路と東西に貫く二条大路が交わる場所にあった門を復原したもの。中に入ると宮内を電車が横切るのはある意味シュールな光景である。

 

大極殿
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これも復原された建物であるが宮殿の中で最も重要な建築物であり天皇の関わる儀式が執り行われたものである。なお奈良時代には2回大極殿が建築されたのだがここに建つのは前期に建てられた位置にある。後期のものはここから南東方向に建てられその遺跡が発見されている。

 

高御座(たかみくら)
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大極殿内にある天皇玉座。実物は京都御苑にあり現天皇即位式にも用いられたがこれは複製。

 

平城宮跡資料館
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大極殿の西側にある。発掘された埋蔵品を分析することによりどの場所にどのような施設があり、その中でどのような暮らしぶりや政治が営まれていたか、その研究成果を知ることができる。今ここに朱雀門大極殿を復原できたのもこのような地道な研究を続けてきた賜物であると気付かされる。それだけではなく東日本大震災被災地で損傷した文化財の修復なども手がけている。文系・理系の学域を超えた考古学という学問は太古の遺物を最新のテクノロジーで現代によみがえらせることに挑戦し続けている興味深い分野だ。

 

平城宮内の役所の再現
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正倉院宝物などを参考に宮内の調度品が再現され往時の役人たちの仕事振りを伺うことができる。この時代すでに文字が使われ筆と墨を用いて木簡に記された文書が残されたことにより我々はそれを光学的分析でその内容を知ることができるというのは、最良のツールを用いた奈良時代と現代との対話ではないだろうか。

 

2012.3.11見学
東日本大震災から満1年と成ったこの日の夕方、ここ平城宮跡で震災追悼のための送り火が行われた。