名鉄蒲郡線乗車

愛知県は世界に冠たるトヨタ自動車の本拠地を擁するなど日本の中でも屈指の先進工業地区であることは間違いない。しかし一方で風光明媚な観光地もいくつも存在し両面の顔を持つ県である。蒲郡市は名古屋と豊橋の間という大都市圏内にありながら三河湾に面して穏やかで美しい風景が楽しめる。交通機関も整備され名古屋からの手軽なリゾート地として行楽客が集まる。ところがその一角をなすべきはずの名鉄蒲郡線はそのような人の流れから全く蚊帳の外に置かれていて今や存廃の岐路に立たされている。そのような状況がなんとなく気になる存在、一度乗りに行きたいと思っていた。

 

まずは古い写真
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1967.4.29撮 幼少の私が旅行中フジペットで撮ったもの(ネガを反転の上一部トリミング)。
当時の蒲郡駅名鉄の3850形らしき電車が停まっている。そのころ一時採用されていたライトパープル塗色とみられる。国鉄名鉄ともに地上駅である。北側の広い国鉄駅の片隅から名鉄が発車するという構図は現在と同じ。しかしその後1970年代に名鉄が先に路線改良に本腰を入れ国鉄に先んじて駅舎を高架化した。そこに本線からの直通特急を送り込んで観光路線として活用した。一時は国鉄駅より賑わっているほどだった。

 

現在の名鉄蒲郡駅
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国鉄の分割民営化後JR東海は都市間輸送の奪還に本腰を入れ、駅の高架化と駅周辺の再開発、ダイヤの見直しによる高速化と緊密化により利便性を向上させた。もとより名古屋から直線的に結び全線複線を完備させていたJRはあっという間に優位に立ち名鉄の追随を許さないものとした。
今や名鉄は戦意喪失、ローカル線に成り果て30分毎吉良吉田までの2連ワンマンの普通電車が走るのみとなり往年の面影はない。この区間にはICカード(manaca)も使えない。
発車を待つ吉良吉田行6000系2連の普通。客はまばら。

 

西浦駅
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一度目の列車交換、この線区専用の6000系しか入っていない。西浦は三河湾に突き出た半島の先にある西浦温泉の玄関口であるべき駅なのに。地元の主婦や高校生らしき少女ばかりが降りて行った。蒲郡・吉良吉田以外中間駅はすべて無人。ここまでが蒲郡市

 

こどもの国駅
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ここから西尾市。こどもの国へ寄るため一旦下車し再び乗車するときやってきた吉良吉田行。2連で乗客用扉は6か所あるわけだがワンマン運転のため乗車時開くのは1両目の後部扉だけ。乗りそびれるわけにはいかないのでその乗車位置から望遠レンズで撮った。遊園地の最寄り駅なのに下車時は私一人、乗車時は私と男性もう一人だけ。

 

三河鳥羽駅
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終点吉良吉田の一つ前の駅。ここで2度目の列車交換。地元の人が乗り降り、常に列車交換するのを見越してのんびりと乗車してくる。

 

吉良吉田到着
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蒲郡から28分で到着。「よし」と読める漢字が3つも並ぶ駅名、どんな良いところかと思うが駅の周りに賑わいはなくバス停があるのみ。蒲郡線の電車はかつて三河線のDCが発着していたホームへ入る。線路は繋がっているものの現在西尾線への直通列車はなく中間改札を経てホームを移動し乗り換える。接続は良い。写真のホームからもう少しレールが続いていて三河線廃線跡が残っていた。蒲郡線が同じ運命を辿らないことを願うばかりである。

 

1枚目以外2013.7.28撮