大阪市立美術館特別展「再発見!大阪の至宝」

イメージ 1

大阪市内にはいくつかの美術館や博物館があるが、そこに所蔵されている作品は少なからず大阪で活躍した天下人や豪商たちが蒐集したコレクションを受け継いだものが多い。大阪にはそのような文化的土壌があったからこそ多くの名作品が散逸を免れ市民共有の財産とすることができた。この企画はそれらの作品群を一堂に会し大阪という町の懐の深さを味わうことができる機会である。

 

展示されているのは日本画、洋画、彫刻、陶磁、工芸、書字など多岐に及ぶ。こうやって見るとコレクターといっても何に美を感じどうしてそれを集めようとしたのかという思いは人それぞれなのだなあと感じ入ってしまう。で、鑑賞する者もまた何に興味を惹かれるかは人それぞれで関心のある作品はすでに本来の所蔵施設で見たことあるという人もあるだろう。しかし私はそのような人たちにもこの美術館で今一度鑑賞することをお勧めしたい。テーマに謳われている「再発見」があるはずだからである。

 

私は朝鮮や中国の古陶磁が好きで、中之島にある東洋陶磁美術館に今まで何度も足を運んでいる。今回展示されている安宅コレクションになる朝鮮の青磁白磁数点は既視のものばかりなのだが、東洋陶磁美術館で見た時とは採光条件や目線高さが違うためか違った印象を受けた。染付や鉄絵の図柄が浮きだったものに感じたのは初めてだった。またそれまで表側しか見ていなかったものが四方から見られるように展示されていた。朝鮮王朝時代の「鉄絵蓮池鳥魚文俵壺」という作品は表側にカササギと魚が描かれているのだが、その裏を今回見ることができそこに鶴が描かれているのを知ったのはちょっとした発見だった。そんな発見を得るため足を運ぶ価値はあり、これらを守り続ける大阪という町への愛着心も少し増すだろう。

 

12月8日まで

 

美術館に隣接する慶沢園から見た阿倍野ハルカス
イメージ 2