天理参考館 近鉄電車展

1914年(大正3年)4月30日近鉄の前身である大阪電気軌道(大軌)が上本町~奈良間を開業して今年でちょうど100年になる。これにあたり近鉄自身も開業当時の色に直した電車を走らせるなど様々な記念事業を企画しているが天理大学付属天理参考館でもそれに合わせて表記のような企画展が開かれている。

 

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開業当初わずか30.8kmの路線だった大軌が路線拡張、合併を繰り返していった結果昭和の初めには伊勢に到達し、第二次大戦前には吉野・名古屋までの路線獲得に成功し、さらに戦後近鉄となって京都線志摩線編入し、高度成長期ののちにも大阪市交・京都市交や阪神電鉄との直通を果たして民鉄一の路線網を形成することになった。そんな近鉄の歴史経緯を資料を交えて展示している。展示品はすべて同館の所蔵品で切符や観光案内チラシ等が主であるが初代あおぞら号(20100系)のヘッドマーク硬券印刷機などの実物も置かれている。日を決めて鉄道模型の運転会もある。

 

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近鉄の路線網は国有鉄道の路線から少し離れて敷かれているところが多いがそうしないと鉄道省の認可を受けにくかったのであろう。結果生駒や青山トンネル、木曽川橋梁などの難工事に直面することになったがそれを完遂した絶大な政治力や資金力を持っていたことに脱帽する。そこには奈良の有力寺社や伊勢神宮はたまたこの企画展が開かれている天理などの宗教勢力をうまく取り込んでいったことにあったのではないだろうか。近鉄がなければ天理教の布教はここまで広がらなかったかもしれない。

 

天理参考館:近鉄・JR天理駅から徒歩約20分 同館3階企画展示室で開催。常設展示も拝観可。5月27日まで