所持品その1

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青磁象嵌蒲柳水禽文瓢形瓶
10年前某中国物産店の棚に並んでいた。周囲はいかにも中国製というような極彩色あるいは手の込んだ模様の瓶ばかりの中にあって妙に落ち着いた存在感があった。青磁といっても明らかに宋や元時代のものとは違ったくすんだ色である。文様もどこかとぼけてユーモラスな感じがする。店員も出所ははっきりわからないと言っていたが、やはり韓国のものに思える。値段8万円!
私はそのころ人生の転機を迎えていて、新たな仕事につくための準備をしていた。でこの件が片付いて無事に仕事が順調に行ったら自分自身への褒美としてこの瓶を買おうと決めた。でも新しい仕事に就くと用事に追われ、瓶のことなど忘れてしまった。ところが年が改まったある夜この瓶が夢枕に立った。そして言った「早く私を買いに来て!」。やっと思い出して幸いなことにいくらか自由になる手持ちもあった。勇んで買いに行って自分のものにした。陶磁器を買ったのはこれが初めて。しばらくは飽きもせずじーーっと眺めていた。ちょっと嫌味ぽいが所有欲を満たした至福に浸るとはこういうものか…。