京都市京セラ美術館・上村松園展

11年前にも京都で上村松園展を見ている

→ 京都国立近代美術館・上村松園展 - awatembowの日記 (hatenadiary.com)

それ以来の拝観となるがこの人の作品は何度も見たいと思わせる気迫がある。今回は国立近代美術館の向い京都市京セラ美術館での開催となった。昭和時代より京都市美術館として親しまれてきた同館であるが今般建物の外観はほぼそのままに内装を大幅にリニューアルして「京都市京セラ美術館」として再スタートした(京セラ美術館というのも京都市伏見区にあるので混同されないよう)。リニューアルして初めての訪問観覧をこの展覧会で果たした。館内は自在に採光できるようになったのか暗くしている部屋もあったが概して明るく見やすくなったと思う。

 

いくつかの作品は前回の展示以来の再会となったが色彩がより鮮やかに感じた。女性の装飾品の描写の細かさには定評があるが、今回印象付けられたのは特に髪飾り、帯の表現の細やかさに目を見張ったことだ。それらの色合いが絵画全体の中のアクセントとなっているがその部分部分を見ていくと小さな模様までが丹念に描かれ髪型や帯の結び方なども作品ごとに違っているのがよくわかった。また「清少納言」という作品における緑色の微妙な使い分けが繊細であることに感心した。着物と御簾が接していながら同系統の淡い緑で施されているにかかわらずその使い分けは素人目にもはっきりわかる。もちろん想像で描いたものなのにそれぞれの材質の本来の色をしっかり見極めていないとできない表現である。作者は紫式部も作品を残しているが私の主観では清少納言のほうがより艶めかしさを感じた。作者個人の好みも反映されているのかもしれない。「花かたみ」は好きな男に去られた女の妖気を感ぜざるを得ないがよく見ると下のほうに壊れた扇子が一つ落ちているのが描かれている。これが女の精神状態のただならぬものを知らしめて作品に重みを増している。上村作品は見るたびに新しい謎を発見し奥深さを痛感させられるのである。今回はほとんどが女性画の展示だったが上村作品にはまた児童画がいくつもある。その図柄も好ましいものでそれらもまたの機会に見てみたい。

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展示場入り口 代表作序の舞の見出し絵、もちろん場内に実物がある