「心理テスト」はウソでした。

発行 日経BP社、著者 村上宣寛(富山大学教育学部教授)、初版2005・4・4

心理学を専門とする学者の書いたもので心理テストがウソだったなどと言われると一般人は驚いてしまう。入学・就職・免許取得・検診などの度に受けてきた性格判断はなんだったんだろう。人事や適性を見てもらったのにどうもしっくりと与えられた仕事になじめないのは、職場が各個人に対して完全に合った業務を用意できないせいかと思っていたが、どうもそんなことではないらしい。結局血液型やインクのしみや単純な計算などで人間の性格などわかりっこないということなのだ。一応一般向けに出された本だがある程度の専門用語、統計学知識がないとn検証内容を理解することは難しいが、要するにどれもテスト考案者の思い込みに尾ひれがついただけで科学的根拠に乏しいものばかりのようだ。またロールシャッハの項を読むとフロイト精神分析手法がいかに心理学・精神医学に害毒を与えたのかとわかる。何でも性的衝動と結びつけるフロイトその人こそ精神分析が必要だったのではないか。
この著者先生少し変人らしく学会とかの集まりはお嫌いらしい。だから大御所のような人のことを批判しまくっている。結局学問的根拠に乏しいと結論付けた心理テストを何ゆえにこの先生は学生に教えるのか? 就職にあたり入社試験で受けるであろう心理テストで正常に判断される術を教えると学生の目の色が変わる。つまりはテクニックでどうにも変えることが出来るテストに妥当性などほとんどないということを一番教えたいのであろう。