中島慎一著、BananaRun構成・文 宝島社発行
私が今書いているこのブログはYAHOOのもので、私もYAHOOの便利性を享受している一人である。様々なサービスを利用すると家にいながら様々な人と出会えるのが生活の楽しみにすらなっている。その中で善良な出会いや適正なお付き合いが続けられることを願い、そのすべての人たちがよい人たちであると信じていたい。私は今まで何度かヤフーオークションも利用した。欲しい出品物を見つけて落札し取引をして現品を手に入れた。これまでの体験ですべての取引はスムーズに進み相手も良心的な人たちばかりであった。だから私には今のところ詐欺師が潜んでいるなんて信じられないのだが、実際にはそういう手合いが跋扈して被害にあう人も少なくないらしい。
著者は2002年に自らがヤフオクで詐欺の被害にあい、それを機に断固詐欺師たちと戦うことを決意し「ヤフオク詐欺対策サイト」を立ち上げる。自分と同じような被害にあった人が何人も集まり連帯の輪が広まる。情報の共有により詐欺師集団の存在が浮かび上がり個々の実名が判明してくる。彼ら一人一人の手口を例示している。
複数のネットID所持して自作自演の取引評価を書き込み他人を信用させる。他人名義の口座、偽名・偽住所の使用。架空出品を大量出品のように見せ掛けていっときに大金をせしめる。早期終了して都合のいい落札者を選ぶ。そして商品が届かないという落札者からのクレームへの巧妙な逃げ口上を弄して犯罪者とならないように逃走。彼らはそれが性であるかのように同じ手口を繰り返す。それらを見破るためにデータの蓄積を重ねる。
警察は明らかな被害と認められるまでなかなか動いてくれず当てにならない。たとえ物品が送られてこなくても、相手から「もう少しお待ち下さい」とメールがくれば取引を続ける意思があると見て被害届を受理してくれない。匿名性の高いネット交信ではなかなか犯罪と認定するのは難しく民事不介入を通そうとする。
結局取引する者が詐欺師たちの触手に乗らないような知識をもつしかない。万一不幸にもそのような被害にあったら本書にあるような救済サイトの協力を得て執拗に彼らをして返金させるまで追い詰めるだけの根気を持つことだと教えている。彼らは泣き寝入りを待っているのだ。決してあきらめてはならない。