奈良県に走ったもう一つの急行

今でこそ奈良県に走るJRの優等列車「かすが」だけでそれも奈良県内はほんの少しだけしか通らない。しかし昭和59年9月まではもう一つの急行「紀ノ川」があった。これは一日1往復、京都から奈良線、桜井線、和歌山線を経て和歌山に至るルートを走った気動車急行で県北部を縦断していた。昭和37年ダイヤ改正で準急「はまゆう」として登場し京都~白浜口間を走って、その後急行化、愛称の「しらはま」への変更となる。そして昭和55年運転区間の和歌山までの短縮と同時に愛称が「紀ノ川」となった。しかし奈良・桜井線の電化に伴いDCが一掃され廃止となる。編成はグリーン車を含んだ急行型気動車5両編成で全車自由席だった。

家の傍を走っているとかえってあまり撮る機会がなくて写真はあまり残っていない。やはり廃止が決まってから名残を惜しんで撮ったものばかりである。そして廃止の日が迫ってから2回乗車した。一度は8月24日宇治~和歌山間でもう一度は最終日9月30日京都~奈良間グリーン車を張り込んだ。この日はさすがに満席。沿線にはカメラが林立。
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急行「紀ノ川」。59年9月のある日曜日撮影。奈良線桃山~木幡間、この頃は六地蔵駅はなかった。

 

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最終日ヘッドマークをつけた下り「紀ノ川」。奈良にて

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乗車したときの急行券・グリーン券。上が9.30、下が8.24のもの。

今は京都から和歌山までオーシャンアローに乗れば1時間半だが往時の紀ノ川は3時間近くかかっていた。効率化といえばそれまでだが、奈良、桜井、和歌山各線に優等列車の復活を望むのは私だけだろうか。