加悦鉄道

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今は北近畿タンゴ鉄道野田川駅となった旧国鉄宮津線丹後山田駅から小さな鉄道が出ていた。同駅から約6km南にある加悦まで走っていた加悦鉄道である。加悦は丹後ちりめんの産地でその製品輸送のため地元有志の手によって大正末期に敷かれた鉄道である。また昭和のはじめには近くの大江山からニッケルが発見され鉱山まで線路延長してその運搬にもあたった。が戦後鉱山は閉山しちりめんは不振さらにモータリゼーションで活路を失い、1985年4月末で廃止された。しかしその後かつて鉱山駅だったところを「加悦SL広場」として整備して使用あるいは保存されていたすべての車両を収容し、さらに他からの譲渡車両も加えて大きな保存施設となった。痛みの大きい車両を補修できる工場もそなえ永劫の保存をめざす意気込みを感じる。ここでしか見られない客車改造気動車キハ083など大切にしたいものだ。

 

さてこの鉄道にも3度ほど行ったことがある。しかしネガが残っているのは廃止直前の1985年3月に訪れた時のものだけである。この頃は鉄道運行は間引かれており一部代替バス運行になっていた。どの列車がそうなのか事前に情報を得られず行って見なければ分らなかった。朝9時代に丹後山田を出る運用を狙っていったら運悪くバスだった。見逃してもすることがないので仕方なく加悦までバス乗車。先に加悦構内の車両を見て回った。いくつもの車両が置いてあったが動いているものはなし。廃止が近いのを窺わせた。帰りは列車に乗れた。お目当てのキハ083だった。板張りの椅子は鋼体化客車の車内そのもの。内地では余り見られぬ二重窓も珍しかった。窓際についていた灰皿にはまだJNRマークが…。もともと車重が大きくあまりスピードが出なかったのだが、加悦へ来てからも40km/hそこそこしか出さずにのんびり走っていた。やはり鉄道はいい。車窓が遠くまで見渡せて広がりを感じる。無人駅ばかりを停車して程なく丹後山田着。名残おしや。
①②加悦構内の車両。キハ08やキハ10は現役である。
③丹後山田から客扱いで加悦へ引き返していくキハ08