阿佐海岸鉄道

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阿佐海岸鉄道とは阿波と土佐を海岸沿いに結ぶという壮大な名前の鉄道である。しかしその実態は海部~甲浦間総延長8.5㎞、全線単線・中間駅1駅のみで乗車所要時間11分のミニ鉄道だ。ただ徳島県高知県の太平洋岸を結んでいる名に偽りはない。変な例えで言うならば赤羽~戸田公園だけ開業の埼京線、新木場~舞浜だけ開業の京葉線あるいは八幡市~樟葉だけ開業の京阪電鉄というような、県境をまたぐ部分だけの先行開業という状態である。ここの場合室戸を通って土佐くろしお鉄道奈半利と結び名実共に旧国鉄が抱いた阿佐線をいつか実現するのが夢であろう。すでに徳島県側は完成して後は高知県側だけの問題である。西側部分は土佐くろしお鉄道ごめんなはり線として開業した。残るは甲浦~奈半利間で予想されるルートは海岸沿いに室戸を通るか西へ山中を短絡するかであるが、いずれにせよ線路が延びる気配は全くない。徳島から高知まではすでに土讃線阿波池田経由のルートが確立されていて新たなルートを利用する需要などないのであろう。この鉄道開業してはや15年になるが年々赤字続きで現在年間収入は2千万を切っているそうだ。本年度内は地元自治体からの補助があるが来年以降は未定である。そんなわけで今後の存在が危ぶまれる第3セクター鉄道の一つと言われている。もはや室戸延伸などは夢の夢であろうし路線の現状から言えばJR牟岐線の延長線という性格が強い。となれば既存の牟岐線と一体の運行形態にするのが現実的且つ有望な利用法と思う。そこでやはりJR四国に引き取ってもらうよう働きかけるのが一番良いと思う。効率化をはかるJRが簡単に首を縦に振らないだろうが、鉄道は鉄道のスペシャリストに委ねるのがごく当たり前の考え方ではないだろうか。それが通らない現状こそが問題なのである。なんとなれば経営破たんを目の当たりにした千葉急行電鉄を京成に編入したという前例もある。無茶な話ではないと思うが。

 

①甲浦で
②海部でJR牟岐線列車と並び
2003年12月29日撮