歌川国芳展

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今年は幕末の浮世絵師歌川国芳の没後150年ということで大阪市立美術館でその作品展が行われている。来る6月5日を持って閉幕であるが終わり近くになってようやく見に行った。

 

浮世絵といっても作家により得意ジャンルがあり、写楽といえば役者絵、広重といえば風景画、歌麿といえば美人画などと分けられるが、国芳はそのいずれにも手を染めて特定のジャンルに偏らない総合アーティストといえる。そのことが器用貧乏と印象付けられて他の作家に比べてその名が知れ渡りにくい要因となっているように思える。よく知られているのは「みかけハこハゐがとんだいゞ人だ」のような隠し絵によってであるがそれ以外のものを見てもつぼを押さえた迫力あるもので半端ではない才能を知ることが出来る。水滸伝平家物語などに題材を求めた武者絵はすさまじいまでの描写で実際に国芳本人が現場を見てきたような迫力である。いくつかの版木も残されているがその線描の細かさは本当に木に彫ったのかと思えてしまう。役者絵は何人もの役者の特徴をよくあらわし服の柄の特徴なども見逃していない。後年幕府の命により役者絵を販売することが禁止されたが動物や壁の落書きなどに見立てて役者の姿を描き続けた。絵師としての不屈さをもうかがい知ることも出来る。

 

個展なのでその作品数もそれほど多数ではないだろうと思って入ったら実に400点にも及ぶ壮大な展示で見終わるのにたっぷり2時間かかって見ごたえがあった。来場者も多くグループや家族連れなどで賑わっていた。もう残された開催日はあとわずか、まだの方はお早めに!