トプカプ宮殿にある中国陶磁

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只今京都文化博物館で開催中の「トプカプ宮殿の至宝展」では多数の金銀宝石真珠に飾られた装飾品に混じっていくつかの中国陶磁の名品が見られる。モンゴル高原に興った騎馬民族が西進して打ち立てられた大帝国の支配者はその先祖がやってきた方角に限りない望郷と憬れを抱いていたのであろう。海をわたって届けられた中国陶磁は金銀に並ぶ貴重品として大切に扱われた。竜泉窯の青磁や景徳鎮の染付の壷や皿などが残されていて接客に用いられた。中には銀か銅製の取っ手と注ぎ口が継ぎ合わされた染付けの瓶もある。異文化の製品も自分達にあう様に作り変える技術があった。

 

その中で注目したのは青磁の瓢形瓶である。13世紀後半宋代に竜泉窯で焼かれたものであろう。牡丹模様が陽刻で描かれている。宮殿では金製のふたが付けられた。水注として使われたのであろう。実はこの瓶は十数年前に出光美術館で出展されたのを見たことがある。その時と今回とそれぞれ絵葉書を買ったので2つを見比べてみる。まず色合いが違う。実物は出光版のもののほうが近い色だった。撮る角度が違うので別の部分の模様が見られる。出光版の左90度位相差で文化博物館版は撮られている。出光版で見た位置のほうが均整が取れた構図に思える。このように出光版のほうがアピール度が大きいとは思えるが良く見るとやや右へ傾いているのが分かる。これは実物を見てもはっきり認識できた。文化博物館版はそれが目立たないような配慮だったのかもしれない。それを割り引いてもその気品はスルタンをして神秘を感じさせただろう。

 

この瓶の姉妹品と呼べるようなものが京都曼珠院にある。その絵葉書を京都国立博物館が発行している。あわせて示しておこう。

 

①出光版
京都文化博物館
③曼珠院所蔵品 銘顔回