湖林博物館所蔵・李朝陶磁の名品

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滋賀県の佐川美術館で今月25日まで開催中の特別展である。ソウルにある湖林美術館の持っている陶磁器のうち李朝(朝鮮王朝)時代に作られたものを主としてある。だから高麗青磁が来ていないのは少し寂しいが、それでも粉青沙器の中には象嵌青磁の流れをくむ物も見られ、また白磁は真っ白なものから青花、辰砂、透彫など揃っていて見ていくうちに不足感は解消していく。中に白磁象嵌などというものがあってはて?と思ったが線刻した模様の上から黒象嵌をはめこみ線を引き立たせたものだった。手間がかかっているのに見栄えの面ではもう一つと思う。平瓶という扁平な楕円球形の胴の一端に細い口をつけたものがいくつか見られたが液体を入れるには満杯に出来ぬ構造で意図がよくわからなかった。また今の時期だからその作品を多く集めたのかもしれないが牡丹文の図柄が多く見られた気がする。もちろん他に菊花文のもある。ある白磁の壷に描かれた菊の模様がこの湖林博物館のシンボルマークになっている。一つ分らないと思ったのだが韓国の陶磁に韓国の国花であるムクゲの模様がないのは何故だろう。

 

オーソドックスな李朝らしい作品が揃っていたが、中には李朝離れしたようなものが目にとまった。印象に残ったので記しておく。
左上 竹を模った徳利。節を多くの突起で表現し取っ手を葉に見立ててある。詩文が書かれ風流である。
右上 象の形の樽。樽といっても30cmほどの大きさでかわいい。子供が粘土細工で作ったような置物。象だかアリクイだか分らなくてユーモラス。
左下 白磁の茶碗と透かし彫りの皿。きれいな白で生地は薄手、透かし彫りの模様は細かい。マイセンといっても疑問に思えないのではないか。
右下 9cmほどの高さの人形6体。 六地蔵? 五百羅漢? はたまたムンクの叫び? 祭事に使われたのだろうが適当に手を抜いたようなとぼけた味が面白い

 

意外なものに出会えるかも、京阪神から少し離れているが脚を伸ばす価値あり。李朝ファン必見!