N電と近鉄シリーズ21の共通点

近鉄の5820とか9000とかいわゆるシリーズ21と呼ばれるグループの通勤車は車体に珍しい特徴がある。車体下半部が絞ってあるのだが絞ってある部分が直線ではなくて最も下の台枠との接合部が垂直になっていて緩くS字を描いている。
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9729ほか6連。09.4.26阪神尼崎にて

 

あまり見ない形態であるが前例がある。それは30数年前旧型国電の足回りを利用して113系に準じた車体を載せたモハ62・クハ66形である。台枠も旧国のもののため断面がまっすぐになっているのに合わせた為である。身延線で使用されたが活動期間は短く10年くらいで引退した。残念ながら私は実物は見たことがない。実物写真はここで見てください→http://itreni.net/jnrkeishikipage/selezioni/ec/vecchi/jnrkuha66300.html

 

特殊な事情があるためにこのような形となったので例といえばこのくらいだと思っていた。
でももっと古い前例があったのだった。

 

先週の日曜(5月10日)、陽気に誘われて京都市内の梅小路公園をぶらり散策していた。一角には元京都市電N電27号車が展示物として園内を走っている。
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この明治半ばに作られた車輌こそが近鉄シリーズ21の大先輩なのである。
車体裾がS状に絞られている。今までなぜか気づかなかった。
この時代の車体は当然木製だが、それをこのような優雅な曲線に仕上げたのは当時の制作技術が決して稚拙ではなかったことを示している。

 

先人の技術は目立たず静かに受け継がれていく。