土岐市美濃陶磁歴史館

わざわざのぞみに乗って名古屋まで出かけたのは整形手術を受けるためではない。名古屋からさらに中央線で小一時間、土岐市で降りる。


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土岐市駅から北へ10分ほどの一帯に「織部の里」と呼ばれる古陶磁窯跡を整備した公園がありその一角にこの歴史館がある。この付近から出土した古陶や近辺の旧家に伝わってきた陶芸品を集め展示保存されている。

 

  瀬戸の本業焼 ―桃山陶写しを中心に―

12月6日まで開催中

 

焼き物は原土、製法の違いから陶器と磁器に分かれるが土岐から程近い愛知県瀬戸では陶器を「本業焼」、磁器を「新製焼」あるいは「染付焼」と呼んで区別していた。本業焼には「黄瀬戸」や「織部」「志野」などが含まれており、昭和のはじめ頃までこれらは天正年間以降瀬戸で焼かれたものと考えられていた。ところがその後この土岐周辺の古陶窯跡から出土した陶片にはこれらの作風のものが多数見つかり15世紀頃から焼かれていたことが確認され起源は100年以上遡ることが分かった。この地域から発見された各種陶器は「美濃桃山陶」と呼ばれることとなり瀬戸で焼かれた「本業焼」の中には桃山陶に倣って作られたものがあると分かってきた。本展はそのような桃山陶の流れを汲む瀬戸生まれの本業焼を集めたものである。

 

小さな建物で大きな企画展ではないが豊臣時代に茶の湯が広まりさらに徳川時代に名だった陶芸家が現れ織部や志野が洗練されていった様子がわかった。しかしせっかく美濃古陶の生まれた地なのだからそのオリジナルと瀬戸本業焼との対比を試みるべく桃山陶の作品ももっと出しておけばさらに理解が深まるだろうにそれが少なく思えたのは何故だろうか…

 

2009.11.22訪問