名鉄資料館 2.パノラマカーの形見

名鉄と聞いてパノラマカーの赤い車体を思い浮かべる人は今も少なくないのでは。
あの車両が登場したのは今から54年前の1961年、東京オリンピックや新幹線開業よりも前である。わが国初の前面展望室と連続固定窓そして冷房装置付きで料金不要というそれまでの常識を覆すエポックメイキングな電車であった。引退してはや7年になるが不朽の名車として語り継がれるであろう。名鉄資料館にはそのパノラマカーに使われていた部品もいくつか展示されている。

 

フェニックスマークとブルーリボン賞受賞銘板
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入ってすぐのところにある。フェニックスマークは登場当初車体前面に飾られていたエンブレム。そして1961年、国鉄キハ82や南海20000系こうやなどを凌いでブルーリボン賞を受賞した

 

後年取り付けられた行先・種別表示板
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最初名古屋本線だけで運行されていたパノラマカーも増備されるにつれ各線に運用が広がり行先の表示が必要になってきた。フェニックスマークに代わって取り付けられたもの。左は手動式、右は電動式のもの。

 

座席
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特別展示室の一角に置かれている転換クロスシート。この柄は座席指定特急車に使われていたものだ。壁には特別展の電機の写真や記念HMが掲示されている。

 

運転室機器
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助手席もあるような比較的広いスペースに見えるが実際の運転席は圧迫感があって手狭だったのだろう。新機軸を多く取り入れた車両だがマスコン、ブレーキ、各種メーターなどは同時期に作られた他車と大差ない。係員に申し出れば電車でGOの疑似運転体験できる。

 

パノラマドーム構想
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パノラマカー量産中の一時期、ドーム状の階上席を増設する構想もあった。これで見る限り形状的にすでに登場していた近鉄ビスタカーのものに似ている。旧ビスタの2階はやはり圧迫感があって乗り心地もイマイチだったと聞く。そんなことがあったからかこの構想は実現しなかった。

 

台車
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館外へ出ると研修用の短い線路が引かれておりその傍らに3種類の台車も展示されている。右側の空気ばねのものがパノラマカーで使われていたFS335型と思われる。

 

現在活躍中のパノラマスーパーミュースカイパノラマカーよりさらに快適性が向上しているのは間違いない。しかしそれでパノラマカーの栄華は色あせるものではない。何よりも当時料金不要の列車にあのような車両を投入したことが名鉄の体質改善やイメージアップに大きく寄与したことは偉大だ。ここの展示品から往時の名鉄の心意気を学び取って同館を後にした。

 

2015.10.26撮