カエルの楽園

新潮社 百田尚樹

 

少し読めば政治メッセージの強い小説と思えるだろう。現在の日本が置かれている状況をカエルの世界に置き換えて俯瞰している。登場キャラクターや種族が何をたとえているかはかなり明白である。現在の状況に様ざまな見方があることは承知しているしそのことが悪いわけではない。しかしうがった見方を他人に伝え広めたり自分たちを悪者に貶めるような考え方を流布させることの怖さが読み取れる。他人の考えは他人の考えとして自分自身の社会観、世界観を各自が持つことが必要であろう。結末の衝撃は決して単なる仮想とも思えずその結果自分たちの身がどうなるかは自分たちでよく考えておくことだ。キャラクターの一人ハンドレッドは作者自身を描いているのか。

 

2018.2.21読了