東寺五重塔

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一昨日29日から来月7日まで京都にあるいくつかの寺院で非公開文化財特別拝観というのをやっており普段見られない文化財に立ち入ることが出来る。東寺の五重塔もこの時期中に入れるというので昨日行ってきた。ただし入れるのは一階部分だけで階上には行けなかった。また内部の撮影は禁止されている。それでも内部の装飾を見るにつけその豪奢さ・堅牢さは外からは想像できぬものであった。

まずは壁面に真言宗八祖像が描かれておりさらに扉内面に護法八方天、その両側の柱には八大竜王像が天災や人災から如来を護るようにして描かれている。そしてこの建物の中心部には心柱という屋台骨のような太い柱が立っている。それを大日如来に見立ててその周囲に阿シュク、宝生、阿弥陀、不空成就各如来を配して四方を見回している。その周りを囲むように四天柱が立てられそれに曼荼羅が描かれている。今でこそ退色したり剥落したりしているが出来たときは極楽浄土を再現したような極彩色だったのだろう。 

さて塔とは元来仏舎利すなわち釈迦の骨を納めるための建造物であるが、実際にそんなものがあるかはともかく塔の建造法は人の背骨と肋骨の構造を思わせるような作りである。各層を積み重ねるように組み木材同士の接合も強固でなく柔軟性を持たせている。先述した心柱は一本ではなく二つの接合部があってそれが振動を吸収して上ほど揺れが小さくなるようにしてある。これは背骨の椎間関節が自由度を持たせつつも椎間板でショックを吸収ししなやかにバランスをとって立てるのに似ている。またそこから外へ向かって伸びている各階の屋根の梁は肋骨にたとえられる。微妙にやじろべえのように上下に動き左右のバランスをとりながら安定させて中の器物を防護する。こうして人が足元の悪いところでも傾かず倒れないように五重塔も倒れにくく、焼失は4回あったが地震で崩壊したという記録は無い。

このような構造を誰が考えどのように組んだかは明らかではない。しかし仏舎利という言葉から人体の構造にヒントを得て立てたとしてもおかしくない。構造上はまさに骨を納める建物となっている。