紀州鉄道乗車

経営体制の変化により鉄道事業の存廃が取りざたされる紀州鉄道和歌山県御坊市まで見に行ってきた。昨年末から踏切設備の不具合から一部区間が運休になり今後が不安視されたが2月には復旧し今のところ御坊~西御坊全区間ほぼ1時間毎に運行されている。JR紀勢線を降り列車到着を待っていると定刻通りやって来た。あの阪神の赤胴車を思わせる配色。

今はスバルとなって鉄道事業から撤退した富士重工製の軽快気動車単行

ワンマン運転で5分ほど停車し私たち乗客数人を乗せると定時発車。運行距離2.7㎞日本一短い鉄道として名を知られている。途中3駅停車し8分で終点西御坊である。

無人駅で人気ナシ、街並みに遠慮するように建っている。

全線乗っても運賃180円、値上げしようにも監督官庁への申請手続きができる社員がおらずやむなく低運賃のまま続けているとのこと。よく見ると車止めの先にも線路が続いているがこれは1989年までもう1駅先の日高川まであった路線跡である。

廃止されてもう37年になるがそのまま残っている線路

西御坊という駅名は御坊市の西部に位置するという意味ではなくこの近くに浄土真宗西本願寺別院が建っているからつけられた名前でそもそも御坊という地名もそのお寺の存在にちなんでいる。乗った列車はしばらくして引き返して行ってしまった。次が来るまでここで待っているのも手持無沙汰、中間駅の紀伊御坊まで1㎞程でそこまではこの町のメインルートの道がまっすぐ続いているので歩いてみることにする。

この辺から中心街とみられるが人通りはまばら。その先に紀鉄の踏切が見えている

ほどなく紀伊御坊駅に着いた。この駅は唯一の有人駅で出札業務もしている。

来駅した有名人のサイン色紙など飾られている

この鉄道もちろんカードやスマホでの入改札などなく現金のみの扱い。ここでは駅員さんが切符を売っている。旅の記念として切符を買うことにする。否、ガラス越しに駅員氏に行先を申し出て運賃を払い切符をもらうという行為自体が今や希少なことである。

今や貴重な硬券、たった150円でいただけるとは破格!

駅に着く前に見たのだが駅近くの踏切沿いにかつての主力車両だったキハ603号が保存展示されている。

1960年製で大分交通で使われたのち1975年当線にやって来た。旧国鉄キハ17系の流れをくむバス窓のある車体も結構貴重だ。実は紀鉄には今回が初めてではなく1984年にも来ている。その時はこれに乗車したことを覚えている。

さて列車が来るまでまだ20分以上ある。隣の学門駅は目と鼻の先なので小走りに同駅を見に行く。

学門という名は近くに中学校の校門があるからだそうだがひところはこの駅の入場券を受験生に売り出していたこともあったそうだ。

少し急いで紀伊御坊駅に戻る。ほどなく御坊行きが来る。行きに乗ったのと同じKR205 である。待避も交換もなく1車両だけのピストン運行である。

運転士さんも同じ人。車内で前景を撮影しているとよかったら貫通扉の所へどうぞと勧められる。他鉄道ならまず立ち入り禁止である。せっかくなのでご好意に甘え急遽動画撮影した。

5分で終点御坊、JR線ホームはそのまま入れるがJRのためのICタッチ機が設置されている。

降車時に運転士さんに切符を記念にもらえないか尋ねようとしたら言い終わらないうちにどうぞどうぞと返事してくださった。

いろいろ親切にしていただいて感謝します。今のこの鉄道の状況は決して明るいとは言えないが半世紀以上にわたって親しまれた地域住民の足としてまた観光客が呼び込めるよう頑張ってほしいものです。

 

前に乗車したときの記事

⇒ 1984/和歌山紀行その2・紀州鉄道日高川駅 - awatembowの日記

  1984/和歌山紀行その2・紀州鉄道続編 - awatembowの日記