
今もビッグコミックオリジナルに連載中である西岸良平の3丁目の夕日 夕焼けの詩は昭和30年代懐古の先鞭をつけていた作品である。下町の小さな自動車修理工場を営む鈴木家を中心に夕日台3丁目に起こる出来事を綴っている。当時の文化や風俗を取り入れるのにはこのラフなタッチこそが向いている。
以前ちびまるこちゃんのヒットにあやかってこの作品も一時TVアニメ化されたが流行らなかった。ちびまるこちゃんも昭和40年代の設定とはいえそれを強調することはせず主人公のキャラクターの快活さを見世物にした結果広い世代に受け入れられた。しかしこちらの作品は昭和30年代の時代背景にこだわっていた分一部の世代(その時代に幼少年時代を送った人たち)にしか話題にならなかった。
私もその世代の一人として言う。それでいいんだ。私たちの世代だけで通じる感性を大事にしたタイムスリップできる場所が欲しいんだ。銭湯から出てきたときのようなホンワカしたムードに浸っていたいんだ。この作品はそういう場所なのだ。今もビッグコミックオリジナルを読み続けるおじさんはそう思う。