横浜ベイスターズ身売り話に

まだ公式な発表はないけれど横浜ベイスターズの身売り話が真実味を帯びて取りざたされている。現在の筆頭株主TBSホールディングスが横浜の持ち株を住生活グループに売却する意向というのだ。2002年に横浜の過半数の株を取得したが、景気の低迷で本体の広告収入の落ち込みが大きく本年3月度決算23億円の赤字で厳しい財務状況となり持ち出し20億円とも言われる球団経営が重荷なようだ。とはいえ親会社がマスコミとなれば読売がそうであるように企業の広告塔としてうまく活用するだろうと思った。だがプロ野球そのものへのスポンサー離れもあり球団経営のメリットも薄れ、ベイスターズは3年連続最下位と成績も振るわないことは予想以上に経営上深刻なことのようだ。

 

1998年に優勝してからは低迷してBクラスが続きこれまでに監督もほぼ2年ごとに変わった。ある年のオフには選手の若年化を図り年俸の高いベテラン選手を何人も切ってしまったこともあった。そのころからこの球団は決して儲かっているのではないなという感じとともに本気で優勝を考えているわけでないように思えた。翻って我らがタイガース、昨今こそ優勝争いに食い込んで上位に入るようになったが野村のころまでは監督はころころ変わり万年最下位が続いた。もしも成績だけが判断材料ならとうに親会社が変わっていたことだろう。しかしどれほど成績が悪くても身売りの話は起こらなかった。親会社阪神電鉄にとってタイガースは利益をもたらす優良子会社、まさに虎の子なのである。この差は何なのだ。

 

やはりファンの絶対数が違うからか。横浜は今や夜間人口では大阪をしのいで全国2位となる大都市である。決して不足のある場所ではない。ではその気質が違うのか。思えば不思議なことであるが京阪神3都市は同じ関西であっても気質が少しずつ違って普段混じりあうことがない。それなのにアンチ東京というところで挙って阪神に肩入れし甲子園に足を運び観客席で隣り合えばそろって応援する。横浜はどうなのであろう。横浜ファンの神奈川県民はマイノリティーなのではないか。隣県にメガロポリスを控えた民の事大主義が横浜巨人ファンをマジョリティーとさせていないか。それが今ベイスターズ経営の難しさとして表面化しているような気がする。

 

で、その楽しみ方なのだが、いくらマイノリティーであれ優勝を望む気持ちは強いものに違いない。それはそれでまじめな楽しみ方と思うけどわれわれタイガースファン、その点達観しております。まああわよくば優勝してくれたらうれしいけど昔後白河法皇が「意のままにならぬものは僧兵と加茂の水と賽の目」と申したように天下を統べる人間でもこれだけ意のままにならぬものがあるのに我々凡人が野球の勝敗など意のままにできるわけがない。優勝はできなくても巨人の前で闘志をたぎらせるところを見せてくれて20年に一回優勝できたらそれでええねん。これからベイスターズの親会社がどんな経営姿勢で臨むかはわからぬがセリーグというところは結局定位置がおよそ決まっていてそれを乱すようなことがあると結局収まりが悪くなることは覚えておいたほうがいい。万一優勝が何年も続いたりすると親会社は巨人ファンの顧客を失うことになりかねないヨ。東京6大学で東大は常にビリだけど彼らには文字通り下から支えているという自負があり密かな誇りさえ抱いているような気がする。優勝至上主義からの脱却がセリーグ球団経営のポイントでありチームのアイデンティティーとなる。われら阪神ファンを範とされたし。