きょうでお別れ

50年も走り続けている電車があるかと思えば、開業15年にして早々廃止となる路線もある。愛知県小牧市に走る桃花台新交通、通称ピーチライナーは累積する赤字をなくす見込みが立たず本日9月30日にて運行終了、明日10月1日付けで廃止ということになった。平成になってからの開業路線で設備が老朽化したのでも致命的な事故が起こったのでもない。債務超過というきわめて人為的な理由なのだ。見通しの甘いずさんな計画がこのような事態を招いたのはなんとも嘆かわしい。今日本各地に自然災害によって路線が寸断され列車が走れなくなっている鉄道がいくつもある。その沿線の人は鉄道の復帰を一日千秋の思いで待っている、あるいは思いもむなしくそのまま廃止となった路線もある。その沿線の人がこのピーチライナーの実情を聞いたらあいた口がふさがらないことだろう。

 

本年3月19日に乗りに行った時の写真を示す。すでに同線の廃止が現実味を帯びた話となっていたので、これが最初で最後の乗車かと思っていたらやはりそうなってしまった。
①車内から撮った対向列車
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桃花台東に進入する列車と留置中の車両
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③車内から運転室を望む
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休日の昼間という時間帯だったが本当に空いていた。小牧では名鉄小牧線と接続しているが人の流れを見ると乗り継ぎ客はなさそうだった。住宅地の中ばかりでなく農業地帯の横も走る。ピーチライナーという名前から桃畑の花が車窓から見られるかと思ったが来るのが少し早かった。あと半月ほどしたらきれいな風景が楽しめただろうが。神戸や大阪のニュートラムは運転士の乗務がないがここでは運転士が乗っていた。たまたまそうだったのかもしれないがどの列車にも乗っていた。そして客席は一方向の3列クロスシートだった。ゆったりして快適な乗り心地であった。それは良いのだが、当初一日3万人の利用客を見込んでいたというならこの車内設備では収容できなかったのではないだろうか。そんなこんな少し眺めただけで経営姿勢、立地条件、輸送力などへの見込み違いが読み取れるような印象だった。一鉄道ファンとして路線廃止は惜しむべきことだが累積する債務が市民へ肩代わりさせられることになれば地元市民が廃止を望むことに異論をはさむことはできない。すでに代替バスは走り出した。エコとかクリーンエネルギーといった理念も利用者がいなければ広まらないということを示す事例として今後記憶されるだろう。さらば!