京都の通り 上京区塔之段通

寺町通に面する阿弥陀寺の横から今出川通りに至る約500mの細い道である。今は単なる生活道路の一つにすぎないがその名は由緒あることを示している。

 

今の今出川室町一帯に室町幕府があった。その3代将軍足利義満金閣寺を創建したことで知られているが幕府にほど近いところに相国寺も建てている。幕府の庇護を受けた禅宗寺院の一つとして同寺は当時権勢を誇り広大な寺領を持った。現在塔之段通は今の相国寺とは接していないが往時は寺領内を通る道であった。そこには高さ100m以上に及ぶ七重塔があったといわれ通りの名はそのことに由来する。
北側からこの道を歩いてみよう。

 

起始部
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阿弥陀寺の向かいを入ったところに「鎌餅」で知られる和菓子屋さんがありその角から始まる。

 

上立売通と交差
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ここで右へ行くと鳥羽伏見の戦いで戦死した薩摩藩兵士の墓がある。その先は件の相国寺の門に至る。

 

クランク
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同志社女子高校敷地にぶつかり左に折れる。すぐにまた右に折れる。

 

七重塔跡地?
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ここに大塔があったと表示あり。高さ109mというから現存する東寺五重塔(高さ55m)の倍近い。残念ながら後年落雷により焼失した。そしてここは明治維新前後に西郷隆盛が暮らしさらに時代が下り昭和になって我が国のノーベル賞受賞第一号となった湯川秀樹博士の寓居のあったところでもあった。

 

振り返る
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ほどなく今出川通に出て道は終わる。後ろを見るとクランクのあったところまで見通せる。そこからここまで西側は同志社の敷地に面している。耳をすませば歴史の息遣いが聞こえそうなところである。