ハリスの旋風

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ちばてつやといえばまず思い浮かべるのは「あしたのジョー」だが、それについでのヒット作はこの「ハリスの旋風」ではないか。こちらの方が作品としては古い。つぎを当てたズボンを履く国松や屋台を手で引いてラーメンを売る父親そして彼らの家の光景などに昭和40年代の時代を感じる。少年マガジンに連載され、一時TVアニメ化された。この作品のタイトルと同名の製菓会社がスポンサーだった。その会社も合併により今はない。

私はやや重さを感じるジョーよりはこちらの方が親しみが持てる。どうしようもない喧嘩好きのやんちゃ坊主石田国松がスポーツの名門ハリス学園にやってきたところから話が始まる。野球、剣道、柔道、サッカー等次々といくつもの運動部に入るのだがどこへ行っても自分を抑えることが出来ず勝手な事をしてトラブルを巻き起こすの繰り返し。漫画として読むとその破茶メチャぶりが笑えるのだが、それらのスポーツに少しでも手を染めたことがある人ならこのようなルール知らずには不快感を覚えるかもしれない。運動神経や体力があってもルールの中で活用しなければただの無軌道でしかない。ルールを守りフェアープレイをする中で最善を尽くすことが大切なのだよと言うのがこの作品のテーマだろう。そこで国松は各スポーツのルールを身に付けやがて有力選手として活躍していくというパターンが繰り返されるが、その過程で読者は様々なスポーツのルールを知ることが出来るのがこの作品の一つの教育的メリットであろう。後年の「おれは鉄兵」の原型とも言えよう。スポーツが好きなローティーンの少年向け。